東京高等裁判所 昭和26年(う)2436号 判決
原審第一回公判調書によれば刑事訴訟法第二百九十一条第二項の手続が終つた直後で未だ立証段階に至らぬ前に原審裁判官は原審各被告人に対し共同被告人間の相互関係、前科の有無等につき尋問をなしたことは所論の通りである。凡そ賍物犯を断ずるに当つて賍物犯人と窃盜本犯との相互関係や前科の有無等の事柄は事案に重要な関係をもつものであり、従つてかゝる事項につき立証段階前に被告人を尋問することは被告事件に対し予断を抱かしめる虞があり、適当の措置と謂い得ない。然し本件においては同条第二項の手続を為したところ被告人及び弁護人等は公訴事実は間違ありませんと陳述し公訴事実を全面的に認めているのである。既に被告人及び弁護人が公訴事実を認めた以上は、仮令検察官の証拠調請求に先き立ち前記事項について被告人尋問が行われたとしてもそれが本件事案に対する予断を抱かしめる虞ありとは思われない。従つてこの点に関する原審の措置は必ずしも妥当とはいえないが、判決に影響を及ぼすべき程度のものではない。
論旨は理由がない。
(註 本件は量刑不当により破棄自判)